英のロックダウン、19日に全面解除

英国のジョンソン首相は5日、新型コロナウイルス対策としてイングランド全域で実施してきたロックダウン(都市封鎖)を19日にほぼ全面解除する意向を表明した。インド型の変異株(デルタ株)の流行で感染者は増加しているが、ワクチン接種が進み、重篤化するケースは減っていることから、社会・経済活動の正常化を優先し、予定通り規制緩和を実施する。

1月5日からイングランドで実施されているロックダウンは4段階で緩和されることになっており、5月17日までに第1~3段階の規制が解除された。最終段階ではナイトクラブの営業禁止、職場や店舗、飲食店で人との間隔を少なくとも1メートル空けることを求めるソーシャル・ディスタンス、公共交通機関や閉鎖空間でのマスク着用義務が解除される。在宅勤務の奨励も打ち切る。

政府は当初、全面解除を6月21日に実施する予定だったが、デルタ株の感染拡大を受けて7月19日まで延期することを決めていた。

英国では今年初めに2,000人程度まで減少していた1日当たりの新規感染者が、このところ2万人台まで増えている。それでも、ワクチン接種の効果で重篤化、死亡に至るケースは減っており、1日当たりの死者は20人未満だ。このため、政府は19日に全面解除する方針を固めた。12日に最終判断する。

ジョンソン首相は記者会見で、新型コロナとの戦いは終わっていないが、もはや「ウイルスとの共存を学ばなければならない」と指摘。「(経済・社会生活を)いま正常化できないとしたら、いつできるのか」と述べ、夏の観光シーズンが本格化する時期に合わせてロックダウンの全面解除に踏み切る方針を示した。

予定通り解除されれば、英国は「強制」から「自粛」による感染拡大封じ込めに舵を切る。ジョンソン首相は今後も自主的にマスク着用を続けるなど、個人の責任で感染防止に努めるよう呼びかけ、自身も混雑した場所などで「礼儀」としてマスクを着用すると述べた。

政府が規制解除を時期尚早とする見方も多い中で、今回の決断に至ったのは、ワクチン接種の加速によって、医療体制のひっ迫を回避しながら経済を正常化できると判断したことが大きい。政府によると、5日現在で成人の86%が少なくとも1回の接種を受け、64%が2回の接種を終えた。ジョンソン首相は同日、ワクチン接種をさらに進めるため、40歳未満の人の1回目と2回目の接種の間隔を40歳以上と同じく12週間から8週間に短縮する方針を打ち出した。

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