「ボッシュに損賠責任なし」、VW排ガス不正で最高裁が判断

自動車大手フォルクスワーゲン(VW)グループの排ガス不正に用いられたソフトウエアの製造元であるボッシュにVWの株主が損害賠償を請求していた訴訟で、ドイツの最高裁である連邦司法裁判所(BGH)は20日、訴えを退ける判決を下した。ボッシュは様々な自動車メーカーに排ガス制御に関わるハードと付随ソフトを供給してきた経緯がある。今回勝訴したことで、他のメーカーの排ガス不正に絡んでも同社に損賠責任がないことが確定したことになる。

VWグループのディーゼル車には台上試験と実際の路上走行の違いを認識し台上試験でのみ排ガス処理が適切に行われるようにする違法なソフトウエアが長年に渡って搭載されていた。この事実が2015年9月に発覚すると、VWの株価は急落した。

今回の裁判の原告はこれを受けて保有するVWの優先株を約8,500ユーロで売却した。取得時の価格(1万2,000ユーロ強)をおよそ3,500ユーロ下回っており、損失を出したことから、同ソフトをVWに供給したボッシュは不正をほう助したと批判。損賠支払いを求めて提訴した。

だが、同ソフトに不正な機能を加えたのはボッシュではなく、VWグループの技術者であることが独シュツットガルト検察当局の調査ですでに明らかになっており、原告は一審と二審でともに敗訴。最高裁のBGHもボッシュが不正をほう助した事実はないとして訴えを棄却した。

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