上場企業取締役の40%以上を女性に、英当局が新ルール案発表

英金融行動監視機構(FCA)は7月28日、上場企業に人材の多様性確保を促す取り組みを強化するため、取締役の少なくとも40%を女性にすることなどを求める新たなルール案を発表した。意見募集を行った上で年内に最終決定し、2022年1月以降にスタートする新会計年度からの新ルール導入を目指す。

ルール案によると、ロンドン証券取引所に上場するすべての企業(約1,100社)を対象に、取締役会メンバーの少なくとも40%を女性とすることを求める。さらに会長、最高経営責任者(CEO)、最高財務責任者(CFO)など上級職の少なくとも1人を女性とするほか、取締役の少なくとも1人を非白人の人種的マイノリティとする必要がある。

いずれの要件も強制はしないものの、「コンプライ・オア・エクスプレイン(遵守せよ、さもなくば説明せよ)」と呼ばれるコーポレートガバナンスの手法を用い、従わない場合は年次報告書で理由を説明するよう求める。経営における多様性確保の取り組みについて透明性を高めるため、取締役会や経営陣の人数構成を標準化された形式で公表することも求める。

企業に人材の多様性を求める動きが世界的に広がっており、英国では取締役や上級職に女性を起用する上場企業が着実に増えている。英政府系の独立調査委員会ハンプトン・アレクサンダー・レビューが今年2月にまとめた報告書によると、ロンドン証取に上場している主要350社では取締役に占める女性の割合が20年10月時点で34%に達し、20年末までにFTSE350企業における女性の取締役比率を3分の1以上にするという政策目標が達成された。

FCAの市場監視部門を率いるクレア・コール氏は「投資家の間では、上場企業の取締役会における代表性と平等性の確保に対する関心が高まっているが、現状では取締役会の多様性に関する標準化、義務化された透明性が不足している」と指摘。「企業や投資家がこうした分野での進捗状況を評価し、投資判断を行うための情報提供についてルールを整備することで、市場の健全性を高めることにつながる」と意義を強調した。

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