ロールス・ロイス、ノルウェー子会社を売却

英航空機エンジン大手ロールス・ロイスは4日、傘下の船舶エンジンメーカー、ベルゲン・エンジン(ノルウェー)を英大手エンジニアリンググループのラングレー・ホールディングスに売却することで合意したと発表した。売却額は6,300万ユーロ(約81億6,000万円)。ベルゲンが保有する現金4,000万ユーロを含め、ロールス・ロイスは今回の取引を通じて総額1億1,000万ユーロを得る。

ロールス・ロイスは新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる航空需要の低迷で深刻な打撃を受けており、2020年8月に子会社の売却などを通じて少なくとも20億ポンド(約3,050億円)を調達する方針を打ち出した。ベルゲンの売却は、財務体質の強化に向けた資産売却計画の一環。

ロールス・ロイスはベルゲンをめぐり、当初はロシア最大の鉄道車両メーカー、トランスマッシュホールディング(TMH)に1億5,000万ユーロで売却することで合意していた。しかし、ベルゲンはノルウェー海軍の情報収集艦などにエンジンを供給しているため、ノルウェー政府は今年3月、安全保障上の懸念からTMHとの取引を差し止めた経緯がある。

売却先のラングレーはイングランド中部ノッティンガムシャーに本社を置く非公開のエンジニアリンググループで、従業員数は約4,600人。同社は買収後もベルゲンを独立した事業体として運営する方針を示している。

一方、ロールス・ロイスは4日、スペインの子会社ITPエアロの売却に向け、米投資ファンドのベイン・キャピタルが主導するコンソーシアムと独占交渉を行っていることを明らかにした。スペインの有力紙「エクスパンシオン」が金融関係者の話として報じた内容を認めた形。ITPエアロはジェットエンジンのタービンブレードを製造している。同紙は取引額が16億ユーロ程度に達する可能性があるとしているが、ロールス・ロイスは合意に達する保証はないと強調している。

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