伊が「グリーンパス」提示義務の対象拡大、交通機関利用者や教職員も

イタリア政府は5日、長距離列車やバス、飛行機など公共交通機関を利用する際、新型コロナウイルスのワクチン接種や検査での陰性を証明する「グリーンパス」の提示を義務付けると発表した。新年度の開始に合わせ、教職員や大学生にも提示を義務化する。デルタ型変異ウイルスの広がりで感染が再拡大しているためで、9月1日から新ルールを適用する。

グリーンパスは少なくとも1回のワクチン接種や、48時間以内に受けたPCR検査または抗原検査での陰性、過去6か月以内の新型コロナからの回復を証明するもの。イタリアでは8月6日付で飲食店の屋内席やスポーツジム、映画館や劇場、美術館などの文化施設、スポーツイベント、テーマパークなどを利用する際、グリーンパスの提示を義務付けるルールが導入された。

感染者の増加に歯止めがかからないため、来月から公共交通機関や教育現場に対象を広げて運用を厳格化する。教職員はグリーンパスがないと勤務が認められず、5日続けて欠勤すると停職となり、給与が支払われなくなる。ビアンキ教育相は会見で、学校や大学で集団感染を防ぐために必要な措置と説明。現時点で教職員の86%がワクチンを接種しているものの、グリーンパスの提示義務化により、これを90%程度まで引き上げることができるとの考えを示した。

イタリアでは3月、欧州で初めて全ての医療従事者にワクチン接種を義務付ける法案が閣議決定された。医師と看護師のほか、薬剤師や介護施設の職員などに適用され、拒否した場合は停職や降格などの処分が科されることになる。

ロイター通信によると、イタリアでは8月4日時点で国民の約65%が少なくとも1回ワクチンを接種しており、54%が接種を完了している。6月下旬に700人台だった1日の新規感染者数は8月に入り、7,000人台で推移している。

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