急速に進展する車両電動化の流れにドイツの中小サプライヤーが付いていけず脱落する懸念が出ている。財界系シンクタンクIW経済研究所が14日に公開したレポートで明らかにしたもので、調査担当者は、従業員再教育などの分野で支援を行うことは政府の主要課題だと強調した。
IWは2010年から18年にかけて独特許・商標庁(DPMA)や欧州特許庁(EPO)、世界知的所有権機関(WIPO)に申請された自動車分野の特許を分析した。発明者の少なくとも1人がドイツ在住であるという要件を満たすものがデータの捕捉対象となっている。
それによると、申請件数はこの間に35%増加。電動パワートレイン分野では伸び率が125%に達した。同分野の申請は2015年から加速している。業界の特許申請に占める電動パワートレインの割合は9%から15%へと上昇し、従来型パワートレインは36%から27%へと低下した。
電動パワートレインの特許申請を出願者の分類別でみると、BMW、ダイムラー、VWグループの独自動車3社とボッシュ、シェフラー(コンチネンタルを含む)、ZFフリードリヒスハーフェン、マーレ、ヘラーの独サプライヤー最大手5社は18年のシェアが計88%に達し、10年の同82%から拡大した。従来型パワートレイン分野でのこれら8社のシェアを10ポイント以上、上回っており、大手企業は電動化を積極的に推進していることが分かる。一方、中小サプライヤーは大半が車両の電動化に対応できておらず、その技術の多くはこれまで同様、内燃機関車関連のものとなっている。
欧州連合(EU)の欧州委員会は7月、内燃機関車の販売を35年から実質禁止する方針を打ち出した。IWによると、同方針が実施されると、18年に申請された自動車特許の22%は価値がなくなるという。