EUの欧州委員会は12日、初の環境債を発行し、120億ユーロを調達したと発表した。コロナ復興基金の財源確保に向けた2,500億ユーロの環境債発行の第1弾で、欧州委によると、環境債の発行額としては世界で過去最大となる。
環境債は調達した資金の使途を環境関連事業に限定する債券。欧州委は償還期間が15年の環境債を発行した。利回りは0.453%。発行枠を大きく上回る1,350億ユーロの応募があった。
環境債では利回りが同条件の通常の債券より低くなる「グリーニアム」という現象がよく起きる。投資家が環境債の意義を評価し、低い利回りでも受け入れるためだ。欧州委のハーン委員(予算担当)によると、今回の起債ではグリーニアムの利回り格差は0.025ポイントだった。
EUのコロナ復興基金(正式名称:次世代EU)は7,500億ユーロ規模。欧州委が債券発行で調達した資金をEUの中期予算に組み込み、新型コロナによる経済の打撃が大きい国に補助金と融資の形で配分する。
欧州委は物価の変動を考慮し、基金の規模を上回る8,000億ユーロを2026年末までに調達することになっている。うち30%に相当する最大2,500億ユーロを環境債で調達すると9月初めに発表していた。1回目の起債の需要が大きかったことで、好調な滑り出しとなった。
復興基金から加盟国に配分される資金は、各国の復興計画に基づき、脱炭素化、デジタル化などの関連プロジェクトに投入される。環境債で調達した資金は、復興基金の柱となる6,725億ユーロの復興・強靭化ファシリティ(RRF)の一部となる。RRFでは50年までにEU域内の温室効果ガス排出量を実質ゼロにするという目標の達成に向けて、各国に配分された資金の少なくとも37%を環境分野に投じることを義務付けている。