マグネシウムが欧州で品薄となっている。主要産地の中国で年内の生産が大幅に制限されているためだ。独金属業界団体メタレは欧州の在庫が11月末までに底をつくとの見通しを明らかにした。ドイツ政府に対し、供給再開に向けた交渉を中国政府と速やかに行うよう要請している。
中国では2021年の二酸化炭素(CO2)排出削減目標を達成するため、火力発電が大幅に制限されている。マグネシウムの主要産地である陝西省楡林市政府は9月中旬、石炭火力発電の電力消費を大幅に制限する措置を命令。マグネシウム製錬など現地のエネルギー集約型産業が直撃を受けている。
このため輸出が大幅に減っており、マグネシウムの95%を中国から輸入するドイツの金属業界は危機感を強めている。マグネシウムはアルミニウム合金に使われることから、自動車や機械、航空機など幅広い業界にしわ寄せが出る懸念がある。
中国では現在、アルミやシリコンの生産も大幅に制限されており、世界的な原材料不足は一段と悪化する懸念がある。