独バイオ医薬品企業ビオンテックと米製薬大手ファイザーは21日、両社が共同開発した新型コロナウイルス用ワクチンのブースター接種の有効率が95.6%に上ることを明らかにした。ビオンテックのウール・シャヒン最高経営責任者(CEO)は、「ブースター接種はワクチンの広範でグローバルなアクセスと並んで、パンデミックの封じ込めと普通の生活への復帰で重要な役割を果たしうる」と述べ、接種完了者が追加免疫を得るために新たな接種を受ける意義を強調した。
両社が共同開発したワクチン「コミナティ筋注」は2度の接種で高い効果が得られるものの、時間の経過とともに感染と重症化の防止力は弱まる。このため同ワクチンの接種が他国に先駆けて行われたイスラエルでは感染者数が6月以降、再び大きく増加。接種率が高い他の先進国でも同様の現象が起きており、ブースター接種はイスラエルや米国、英国、欧州連合(EU)加盟国ですでに始まっている。
ビオンテックとファイザーは感染力が極めて高く現在主流となっているデルタ変異株が流行している時期にブースター接種の臨床試験を実施した。すでに2度の接種を受けた16歳以上の1万人以上が参加。そのうちの半数に本物のワクチン、残りの半数にプラセボ(偽のワクチン)を接種した。
接種から7日以上が経過した後の感染者数はプラセボ接種者で109人に達したのに対し、ワクチン接種者では5人にとどまった。これはワクチンを接種した人の発病率が、プラセボ接種の人に比べ95.6%低いこと意味することから、ブースター接種の感染予防効果は極めて高い。年齢、性別、人種、民族、他の疾患の有無にかかわらず高い効果が得られたとしている。
両社はこのデータを米食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)などの認可当局に早急に提出する意向だ。