欧州の自動車業界に詳しいアナリストによると、欧州連合(EU)と韓国の自由貿易協定(FTA)により最も大きな打撃を受けると見られる欧州の自動車メーカーは、仏PSAプジョー・シトロエンという。22日付の『オートモーティブ・ニューズ・ヨーロッパ』紙が伝えた。
EUと韓国は6日、ブリュッセルで首脳会談を開き、工業製品などに対する関税を相互に撤廃するFTAに署名した。発効は来年7月1日で、工業製品に対する双方の関税が原則として5年以内に撤廃され、EUが高関税をかけている乗用車や液晶テレビなどを韓国企業が関税負担なしで輸出できるようになる。
クレディ・スイスのアナリスト、デービッド・アーノルド氏によると、PSAはフォルクスワーゲンやルノー、フィアットなどの欧州大手メーカーと比べて欧州市場への依存度が高く、売上の4分の3を西欧が占める。FTAが発効すれば、現代自動車や起亜自動車などの安価な韓国製自動車が大量にEUに流入し、欧州自動車市場での価格圧力が強まることが予想され、PSAは他の欧州競合よりも収益に大きな影響が出る可能性が高いと指摘する。
FTAにより韓国車が市場を席巻することを危惧する欧州の自動車業界は、欧州議会にロビー活動を展開。韓国車の輸入が急激に増加した場合、緊急輸入制限や関税措置が発動できるセーフガード条項をFTAに盛り込むよう強く求めている。