欧州自動車大手ステランティスが電気自動車(EV)への切り替えを推進するため、韓国企業と組んで北米で車載用電池の生産に乗り出す。10月18日に韓国LG化学の電池子会社LGエナジーソリューションと北米で車載用電池を生産する合弁会社を設立することで合意したと発表。10月22日にはサムスンSDIとも同様の合弁事業を実施することを明らかにした。
LGエナジーソリューションとの合弁会社は年産能力40ギガワット時の工場を建設し、2024年に生産を開始する。同工場はステランティスが米国、カナダ、メキシコで生産するEV、プラグインハイブリッド車(PHV)に電池を供給する予定だ。工場開設地は未定。22年4~6月期の着工、24年1~3月期の稼働を目指す。
サムスンSDIとは米国にEV用電池の工場を開設し、ステランティスの米国、カナダ、メキシコ工場に電池を供給する。当初の年産能力は23ギガワット時だが、将来的に40ギガワット時まで拡大する。25年上期の稼働を予定している。
ステランティスはフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とグループPSAが統合して今年1月に誕生した世界4位の自動車グループ。同社は7月に発表した脱ガソリン車計画で、25年までに300億ユーロ以上を投じてEV開発を進め、販売台数に占めるEV、PHVの割合を30年までに欧州で70%以上、米国で40%以上に引き上げる方針を打ち出していた。
同時にEV用電池の生産にも力を入れ、欧州と北米で5工場を展開する計画で、25年までに130ギガワット時、30年までに260ギガワット時の年産能力を備えると発表していた。韓国2社との提携により、計80ギガワット時を確保した形となる。EV120万台分に相当する規模だ。
ステランティスは一連の事業に25年までに300億ユーロ以上を投じる予定で、一部を北米での電池生産に割り当てる。