欧州委、有望コロナ治療薬として10種を認定

欧州委員会は10月22日、新型コロナウイルス感染症への使用が検討されている治療薬のうち、欧州連合(EU)での承認、使用が有望と認定した10種のリストを発表した。年内に5種が承認され、患者への投与を開始することを想定している。

10種は感染初期に有効とされるモノクローナル抗体(中和抗体)治療薬、感染が判明してからできる限り早期に使用する経口薬、症状が重篤化して入院した患者に使用する免疫調節薬の3タイプ。

モノクローナル抗体治療薬では英グラクソ・スミスクライン(GSK)と米ヴィル・バイオテクノロジーの「ソトロビマブ」、スイスのロシュと米リジェネロン・ファーマシューティカルズの「ロナプリーブ」、英アストラゼネカの「AZD7442」が指定された。

経口薬は米メルクとリッジバック・バイオセラピューティクスの「モルヌピラビル」、米ファイザーの「PF-07321332」、米アテア・ファーマシューティカルズとロシュの「AT-527」。免疫調節薬はロシュの抗リウマチ薬「アクテムラ」、スウェディッシュ・オーファン・バイオビトラム(スウェーデン)の「キネレット」、米イーライ・リリーの抗リウマチ薬「オルミエント」、米ヒューマニジェンの「Lenzimulab」となっている。

EUでは新型コロナのワクチン接種が進んでいるが、感染を完全に封じ込めることはできないため、感染者の命を救う治療薬の普及も重視している。しかし、EUが承認し、使用しているコロナ治療薬は米バイオ医薬品企業ギリアド・サイエンシズの抗ウイルス薬「レムデシビル」だけだ。今回のリストは臨床試験(治験)が後期に入っている82種の候補薬の中から、専門家グループが絞り込んだ。

10種のうち「ソトロビマブ」「ロナプリーブ」「オルミエント」など6種は、すでに欧州医薬品庁(EMA)が「逐次審査」を行っている。欧州委のキリアキデス委員(保健衛生・食の安全担当)は「少なくとも3種が数週間以内に承認され、さらに2種が年内の承認にこぎ着けることが目標だ」と述べた。

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