化学業界がコロナ禍前を凌駕、売上記録更新へ

独化学工業界(VCI)は16日、同国化学・製薬業界の2021年売上高を従来予測の前年比11%増の2,110億ユーロから同15.5%の2,200億ユーロへと上方修正した。上昇した原料調達コストの転嫁が順調に進んでいるためで、出荷価格の上昇率についても6.5%から8.5%へと引き上げた。売上高はコロナ禍前の18年に記録した過去最高(2,035億ユーロ)を大幅に上回る水準となる。生産高については4.5%増に据え置いた。

化学品の需要は旺盛だ。背景にはコロナ禍からの回復のほか、経済の幅広い分野に広がる原材料不足を受けて川下メーカーが在庫を増やしていることがある。VCIは「この追加需要には部分的にしか対応できない」とうれしい悲鳴を上げた。

21年7-9月期(第3四半期)の生産高は営業日数・季節要因調整後ベースで前期比0.8%増となった。原料不足、物流ひっ迫、エネルギー価格の上昇を受け、増加幅は上半期に比べ縮小。工場稼働率は第2四半期の85.9%から82.3%へと大幅に低下した。今冬は化学業界の生産がさらに減速するとみている。

7-9月期の生産高を分野別でみると、増加したのは製薬(3.2%増)と石油化学品・誘導体(1.8%増)だけで、それ以外は減少した。減少幅は無機化学品で4.2%、ファイン・スペシャル化学品で3.6%、洗剤・ボディケア用品で2.0%に上った。製薬を除く化学業界は0.3%減だった。

業界売上高は553億ユーロで、前期を6.3%上回った。出荷価格が2.9%上昇したことが大きい。国内売上が6.2%、国外が同6.3%の幅で伸びた。

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