ユーロ圏19カ国は8日に開いた財務相会合(ユーログループ)で、圏内の物価は急上昇しているものの、2022年には許容範囲内まで縮小するとの見解で一致した。また、財政規律の見直しについて、景気回復を妨げないで債務削減に努める方向で調整を進めることを確認した。
ユーロ圏のインフレ率は10月に前年同月比4.1%となり、前月の3.4%から拡大。欧州中央銀行(ECB)が目標とする2.0%を大きく上回り、2008年7月以来の高水準に達した。
ユーログループの議長を務めるアイルランドのドナフー財務相によると、今回の会合では物価の急上昇について、エネルギー価格の高騰、サプライチェーンの混乱といった一時的要因が大きく、景気回復とあいまって当初の予想より長引くが、22年には適正水準に収まるという見方で一致した。ECBの見通しを追認した格好だ。
EUは財政規律を定めた安定成長協定の見直しに向けた議論を進めている。コロナ禍対応で悪化しているEU各国の財政の健全化と、地球温暖化対策などで必要となる投資をいかにして両立させるかが大きな焦点だ。
ユーロ圏財務相会合は、これに関する協議を同日に開始。参加した欧州委員会のジェンティローニ委員(経済担当)が記者会見で明らかにしたところによると、経済成長を重視しながら各国の公的債務を削減する必要があるという見解で概ね一致した。ただ、どのように実現するかは難しく、22年1~3月期の合意に向けて協議を重ねていくことを確認したという。