欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2021/11/22

EU情報

オーストリアが4度目の都市封鎖、独は接種未完了者への制限強化

この記事の要約

欧州で新型コロナウイルスの感染再拡大に歯止めがかからず、各国が相次いで再び規制を強化している。オーストリアでは22日、4度目となる全国的なロックダウン(都市封鎖)に入った。通勤や生活必需品の買い出しなどを除き、原則として […]

欧州で新型コロナウイルスの感染再拡大に歯止めがかからず、各国が相次いで再び規制を強化している。オーストリアでは22日、4度目となる全国的なロックダウン(都市封鎖)に入った。通勤や生活必需品の買い出しなどを除き、原則として外出が禁止される。10日後に状況を確認し、同措置を継続するかどうか判断する。

同国では新規感染者数が過去最多の1万3,000人前後で推移している。今月15日からワクチン接種の未完了者を対象に外出制限を導入していたが、感染拡大に歯止めがかからないため、全住民を対象とする制限措置に踏み切った。

オーストリア政府は19日、2022年2月1日からワクチン接種を義務化する方針も打ち出した。同国ではワクチン接種を完了した人の割合が人口の約64%と、EU平均をやや下回っている。欧州ではフランスなどが医療従事者にワクチン接種を義務づけているが、一般市民を対象とした義務化は同国が初めて。シャレンベルク首相は記者会見で「義務化しなくても高い接種率を達成できると考えていたが、うまくいかなかった。現実を直視する必要がある」と述べ、国民に理解を求めた。

ドイツでも感染者が急増しており、18日には1日の新規感染者が初めて6万人を超えた。政府は同日、16州の代表と対応策を協議し、ワクチン接種の未完了者に対する行動制限を強化する方針を決めた。医療体制のひっ迫を回避するため、人口10万人当たりの7日間の入院者数を基準に、厳しい規制を導入する。

具体的には入院者数が3人を超えた地域では、ワクチン接種を完了済みか感染後に回復した人以外は、飲食店の利用、スポーツイベント参加ができなくなる。6人を超えた地域では、ワクチン接種完了者や回復者でも、クラブなど他者との距離が保てない場所を利用する際は、検査の陰性証明を提示しなければならない。さらにワクチン接種の未完了者が公共交通機関を利用する場合、24時間以内に受けた検査の陰性証明が必要になる。

また、ベルギー政府は17日、ワクチン接種を完了した全ての人に追加接種を行うと発表した。同国ではすでに人口の75%が接種を完了しているが、感染が再拡大している。このため新たに週4日の在宅勤務を義務化し、マスクの着用義務も拡大する。

これまでにアイルランドやオランダでも、レストランやパブなどの営業時間を短縮する措置が導入されたほか、18日にはチェコとスロバキアがワクチン接種未完了者に対する行動制限を導入する方針を打ち出した。

欧州疾病予防センター(ECDC)によると、ワクチン接種完了者の割合はドイツで68%、フランスで69%、イタリアで73%など、いずれも日本の76%を下回る。さらにルーマニアで36%、スロバキアで45%など、東欧で接種率が低く、このまま感染拡大が続けば医療体制がひっ迫する恐れがある。