台湾は18日、事実上の大使館に当たる「台湾代表処」をリトアニアの首都ビリニュスに開設した。在欧州の台湾の代表機関の中で名称に「台湾」が入るのは初めて。中国側の強い反発をよそに、台湾はEU諸国との連携を強めている。
「ひとつの中国」を標榜し、台湾を自国の一部とみなす中国を刺激しないため、台湾の国外代表機関の名称は「台湾」を用いず、「中華台北(チャイニーズタイペイ)」などとしていることが多い。台湾の外交部(外務省に相当)は同日のツイッターへの投稿で「リトアニア政府と世界中の友人に深く感謝する」とコメントした。今後両国の間では半導体、レーザー、フィンテックなどの分野で協力が進むと期待されている。
リトアニアは今年7月、台湾当局に対して代表機関に「台湾」の名称を用いることを承認した。これに反発する中国は8月、リトアニアに駐中国大使の引き揚げを要求。自国の駐リトアニア大使を呼び戻した。また同月末から9月上旬にかけてリトアニアへの直行貨物列車の運行を取り止めるなど反発を強めていた。
台湾は先月末、経済使節団がチェコ、スロバキア、リトアニアの3カ国を訪問したほか、呉釗燮外交部長(外相)も視察団とは別に欧州を訪問し、EUおよび各国との友好関係強化に務めた。
中国は巨額投資をちらつかせて中東欧地域への浸透を図ってきたが、話と異なる「空約束」の多い現実を受け同国に距離を置く国が増えている。特にリトアニアは背を向ける姿勢を鮮明にしており、今年2月に開催された中国と中東欧諸国の首脳会議「17プラス1」をボイコットしたほか、EUに対して中国との関係は西欧諸国を含む「27プラス1」のレベルで扱うよう求めた。