国の予防接種常任委員会(STIKO)は18日、追加免疫(ブースター)接種の勧告対象を18歳以上の新型コロナウイルス用ワクチン接種完了者全員に拡大する意向を発表した。これまでは70歳以上の高齢者などに限定してきたが、感染者が急増し集中治療病床が不足する懸念が出てきたことから、対象を大幅に拡大する。国内16州の政府はすでに全接種完了者がブースター接種を受けられるようにしており、STIKOは事後的にお墨付きを与える格好となる。
ドイツでは現在、12歳以上の全員が新型コロナワクチンの接種を受けることができる。STIKOは今回、18歳以上についてブースター接種を勧告する方針を打ち出した。欧州連合(EU)の欧州医薬品庁(EMA)は18歳以上を対象とするブースター接種を勧告しており、これに倣った格好。
新規感染者の増加傾向は歯止めがかからない状態だ。ロベルト・コッホ研究所(RKI)が同日発表した17日の新規感染者数は6万5,371人となり、前週同日に記録した過去最高(5万196人)を30%も上回った。新型コロナ患者による集中治療病床の使用率は前月同日の6.5%から2.3倍の15.2%に上昇している。
STIKOは感染の波を弱め、重症化したり死亡する患者を減らすため、ブースター接種の勧告対象を大幅に拡大する。ただ、重症化・死亡リスクの高い高齢者、老人ホームの入居者、免疫不全症患者、および医療・介護関係者への接種を優先すべきだとしている。
70歳未満の健康な人にも勧告対象を拡大するのは、高齢者などが非接種者だけでなく接種完了者に接触することで感染するケースが増えているためだ。健康な若年層がブースター接種を受けることでそうしたリスクを引き下げることができる。非接種者に対しては速やかに接種を受けるよう強く促した。
ブースター接種は原則的に接種完了から6カ月以上が経過した人を対象とする。ただ、ワクチン供給にゆとりがある場合は間隔を5カ月に縮めることも可能としている。ワクチンの種類は伝令RNA(mRNA)型(ビオンテック/ファイザー連合とモデルナの製品)に限定する。
STKIOは今回打ち出した方針を州と専門機関に送付した。意見を聴取したうえで、近日中に勧告を出す予定だ。