独複合企業ティッセンクルップは2日のバーチャル投資家説明会で、2年前から進めてきた抜本的な組織再編の成果が出てきたとして、今後は再び成長に軸足を置いて業績を拡大していく意向を表明した。DXや脱炭素化の流れを追い風に売上高営業利益率(調整済みのEBITベース)を2021年9月期の2.3%から中期的に4~6%へと引き上げる目標だ。
同社は周辺事業や収益力の高いエレベーター部門を売却するなど、組織再編に取り組んでいる。これまでは主に事業の「集中・選別」と「改善」に焦点を合わせてきたが、21年9月期の業績が大幅に好転するなど改革の成果が出てきたことから、今後は事業拡大に向けた「スケール」期に入る。
ティッセンは昨年5月、中核事業を材料取引、産業部品、自動車部品、鉄鋼、軍用船の5部門に絞り込む方針を打ち出した。今回の投資家説明会ではこのうち材料取引、産業部品、自動車部品の3部門を引き続き手元に残す考えを表明。鉄鋼と軍用船については手放す可能性もあることを明らかにした。鉄鋼については分社化、軍用船については分社化と合弁化を視野に入れている。
電解槽子会社ウーデ・クロリンエンジニアズ(UCE)に関しては新規株式公開(IPO)を優先検討する考えを前月の決算記者会見に引き続き表明した。グリーン水素市場の大幅成長が見込まれるなどUCEの経営環境は良好なことから、IPO後も過半数資本を保持する意向だ。
ティッセンは中核5部門の中期売上高営業利益率目標も明らかにした。材料取引で9%超、産業部品で10%以上、自動車部品で7~8%、鉄鋼で6~7%、軍用船で6~7%を目指す。