スウェーデン議会は11月29日、与党・社会民主労働党党首のマグダレナ・アンデション氏(54)の新首相就任を承認した。同氏は24日にスウェーデン初の女性首相に選出されたが、直後に連立を組む緑の党が政権を離脱したことで、数時間後に辞任する事態に陥った。今回は同党単独での政権樹立を目指し、改めて首相に選出された。
29日に行われた再投票の結果は賛成101、反対173、棄権75。承認には反対票を投じた議員が半数以下(定数349に対し174以下)である必要があり、ぎりぎりの選出となった。
アンデション氏は社会民主労働党前党首のステファン・ローベン氏の後任。同党は議会第1党ながら議席数は過半数に届いておらず、不安定な政権運営が続いている。24日にはアンデション氏が新首相に選出された後、予算審議で政府案が否決され、逆に野党が提出した代替案が可決された。野党案の起草には極右のスウェーデン民主党も関与したことから連立政権を組む緑の党がこれに反発し、連立からの離脱を表明。これを受けてアンデション氏はその日のうちに辞任した。ただ、緑の党を含めて多くの党がアンデション氏の首相就任を支持しており、同氏の再選出が有力視されていた。
アンデション氏は2014年から財務相を務めてきた。同氏は30日に発表した声明で、社会全体を脅かしている犯罪への対応、グリーン産業革命の推進、福祉制度の見直しを重点政策に挙げ、あらゆる対策を講じて深刻化した社会問題に対処する姿勢をアピールした。