独バイオ医薬品大手ビオンテックは11日、新型コロナウイルスの危険な変異株の出現を早期に把握するシステムを英国のITスタートアップ企業インスタディープと共同開発したと発表した。感染力が高く世界的な脅威となる「懸念される変異株(VOC)」を流行前に特定できることから、新型コロナ対策で大きな武器になると見込まれている。
デルタ株やオミクロン株などのVOCは危険性が認識された時点ですでに感染が国際的に広がっていた。ウイルスの変異は頻繁に起こることから、従来の方法では危険性の高い変異株を早期に特定できないためだ。
両社はこの問題を解決するために手を組んだ。ビオンテックが持つ新型コロナウイルスに関するノウハウ・技術と、インスタディープのAI技術を組み合せ、ウイルスが細胞に侵入する際のカギとなるスパイクタンパク質の遺伝子解析情報を分析。変異株の免疫回避度と、細胞へのスパイクタンパク質の結合しやすさ数値化し、危険度を把握する。
これにより従来の方法に比べVOCを2カ月早く特定できるようになることから、国や国際機関は早期に対策を立て、感染拡大を抑制しやすくなる。VOC対応のワクチン、治療薬の開発も早い時点で開始できる。
インスタディープは2014年の設立。AIベースの意思決定製品を企業向けに開発している。ロンドンに本社、パリ、チュニジアの首都チュニス、ナイジェリアのラゴス、アラブ首長国連邦のドバイ、南アフリカのケープタウンに拠点を置く。