英政府は13日、インドとの自由貿易協定(FTA)締結に向けた交渉を開始したと発表した。英国は欧州連合(EU)離脱後、外交政策の新戦略でインド太平洋地域を重視する方針を打ち出しており、その一環として、成長著しいインドとの貿易、投資の拡大を図る。
英国のトレベリアン国際貿易相が同日、インドの首都ニューデリーで同国のゴヤル商工相と会談し、交渉入りで正式合意した。17日の週に第1回交渉会合を実施する。欧米メディアによると、英側は2023年初頭までの交渉妥結を目指すという。
英印間の貿易額は19年に合計230億ポンドだった。両国は30年までにこれを2倍に増やす方針を打ち出している。英政府によると、FTAが実現して関税が撤廃されると、英国からインドへの輸出は最大68億ポンド拡大する見通し。現在は英国の重要な輸出品である自動車とウイスキーにそれぞれ125%、150%の関税がかけられている。また、インド政府は気候変動への対策と増大する電力需要に対応するため、再生可能エネルギーの野心的な導入目標を掲げており、風力タービンの部品など、環境分野での輸出拡大も見込んでいる。
英国はEU離脱を機に、アジア太平洋諸国との関係強化を進めている。21年1月に日英間の経済連携協定(EPA)が発効したほか、オーストラリアやニュージーランドともFTAで合意。さらに日本を含む11カ国が参加する環太平洋連携協定(TPP)への参加に向けて交渉を進めている。