●商品ラインナップと客層を広げ、市場シェアを拡大する狙い
●ロシアのネット食品販売市場はコロナ禍を受けて急成長
ロシアの小売り大手レンタ(Lenta)はこのほど、食品のネット通販を手掛けるウトコノス(Utconos)の買収で合意したと発表した。これによってレンタは商品ラインナップと客層を広げ、市場シェアを拡大する。取引は今年2月に完了する見通し。買収額は当初200億ルーブル(2億3,100万ユーロ)に設定されていた。同社は2025年までにロシアのネット通販市場でのシェアを10%まで伸ばす目標を掲げている。
ロイター通信によると、レンタは256億ルーブルに上る新株を発行して買収資金を確保する。そのうちウトコノスの全株式を保有する露投資会社セベルグループが200億ルーブルの新株引受権を取得する予定。セベルグループはレンタの株式78%も保有している。このほか鉄鋼大手セベルスタル、金鉱開発のノルドゴルド、人材サービスのタレントテック、独系旅行会社のツイ及びツイ・ロシアの株式も保有する。
ウトコノスによると、昨年9月時点での登録利用者数は33万人。同社はモスクワのほかカルーガ、トベリ、トゥーラに拠点を持つ。2020年の売上高は143億ルーブル(1億6,500万ユーロ)で前年の86億ルーブルから66.3%の大幅増を記録した。昨年1ー6月期の総売上高は前年同期比11%増の78億ルーブルだった。
レンタが扱う商品のSKU(最小在庫単位)はロシア最大規模の8万5,000。モスクワとモスクワ州に4つの物流拠点と920台の配送車両を持つ。従業員数は5,200人。
データ会社のスタティスタ(Statistia)によると、ロシアにおける2020年のネット食品販売の市場規模は1,350億ルーブル(15億5,800万ユーロ)で、コロナ禍を受けて急速に成長した。同市場で最大手のX5リテールグループの売上高は220億ルーブル、これにズベルマルクトが200億ルーブルで続いている。(1RUB=1.52JPY)