3Dスキャン・ディープテック開発 GScan(エストニア)

宇宙線を利用した3Dスキャン技術の開発企業。セキュリティや貨物スキャン向けに、人工知能(AI)により自動化された非侵入型の検査システムを開発している。欧州各国の税関をはじめ、大学や研究機関、セキュリティ会社と協力し、既存のインフラに無理なく組み入れて稼働できるソリューションを提供する。昨年10月にはエンジェルラウンド(最初期の投資ラウンド)で50万ドルを調達、企業価値は1,500万ユーロと見積もられている。欧州連合(EU)が進める、宇宙線技術による非侵入型の貨物検査装置の導入促進に向けたプロジェクト「Silent Border」に参加している。

同社の技術は、常時地球に降り注ぐ宇宙線に含まれる素粒子「ミューオン」をベースにするもので、一般的なX線検査に比べて透過力が極めて高く、X線では検出できない物質も効率的に検出できる。また、同素粒子は自然放射線由来のため、人体への影響がX線よりも小さい。このため、X線の使用に適さない分野や環境での需要が見込まれている。

検査に際しては、対象物質を透過するミューオンの数と方向を検出器で測定し、検出の密度を色の濃淡で画像化することで、検査対象の「レントゲン写真」を得る。同技術にAIを組み合わせることで人や車両、貨物コンテナを確実にスキャンし、危険物や潜伏者などを自動的に発見できるようになる。同システムは建物や橋などの構造物の調査や、医療分野にも応用が期待できる。

同社は2019年の創設。現在、2立方メートルの容量を持つスキャナーをこの夏までに完成させ、エストニア税関と共同でテストすることを予定している。セキュリティや貨物スキャンの市場規模は150億ドルと見積もられており、同社は今後様々な用途向けに製品を供給していく方針だ。

Gscan Ltd.

Maeealuse tn. 2/1, Tallinn, Harjumaa, 12618, Estonia

info@gscan.eu https://gscan.eu/

上部へスクロール