J&J接種者がワクチンステータス喪失、1回接種では不十分と医薬品規制当局が判断

米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製新型コロナウイルスワクチンの接種を受けた人が「ワクチン接種完了者」などのステータスを失うケースが出ている。ドイツの医薬品規制を担当するパウル・エールリヒ研究所(PEI)が15日付の声明で、これまで1度の接種で接種が完了するとしてきた見解を2度の接種に改めたためだ。周知徹底に向けて大規模な広報活動を行わなかったこともあり、ステータスを事前予告なしに突然、喪失した市民の間には混乱が広がっている。

ドイツではこれまでに新型コロナワクチンが計4種類、承認されている。このうち3種類は2回の接種で接種が完了するタイプだが、J&J製品についてはこれまで1回の接種で完了するとされてきた。被接種者の負担が少ないことからJ&J製品の接種を受けた人は少なくない。

PEIはロベルト・コッホ研究所(RKI)の同意を得たうえで、J&J製品の接種完了に必要な回数を2回へと引き上げた。1回の接種では効果が極めて低いことが分かったためだ。同ワクチンで接種証明を受けていた人は今回の決定により、接種完了者のステータスを喪失した。約300万人が該当するもようだ。ステータスを再獲得するためには新たに接種(mRNA型のワクチン=ビオンテックとファイザーが共同開発した製品か米モデルナ製品)を受けなければならない。これを行わなければ、新型コロナ感染防止の「2Gルール」が適用されている店舗への入店やイベントへの参加ができない。

今回の決定はJ&J製品の後にmRNA型ワクチンの接種を受けてブースター接種完了者のステータスを獲得していた人にもしわ寄せをもたらしている。ただ、州によって対応が異なることから注意が必要だ。公共放送ZDFが各州に問い合わせたところ、16州のうちハンブルク、ヘッセン、ラインラント・ファルツ、テューリンゲンの4州ではこれまでに引き続き2回の接種(1回目がJ&J製品、2回目がmRNA型)でブースター接種完了者とみなされる。つまり3回目の接種を受けなくてもステータスを喪失することはない。

これに対し、ノルトライン・ヴェストファーレン、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン、バイエルンの3州では3回の接種(1回目がJ&J製、2回目以降がmRNA型)を受けないとブースター接種完了者のステータスを再獲得できない。該当者が「2Gプラスルール」の適用店などを利用する場合は陰性証明を取得する必要がある。

残り9州からは回答が得られなかったという。

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