独バイオテクノロジー業界の資金調達総額が昨年は23億ユーロに達したことが、業界団体ビオ・ドイチュラントの発表で分かった。過去最高となった前年(30億ユーロ)を下回ったものの、これまでで2番目に高い水準となっており、業界の景況感は明るさを増している。
比較対象の2020年は新型コロナウイルス用ワクチンの開発に取り組んだビオンテックとキュアバックの2社が合わせて約15億ユーロを調達していた。これを除いたベースでは業界の調達額が増加したと言える。両社が世界的な脚光を浴びたことは独業界全体にプラスに作用している。
資金調達を種類別でみると、額が最も多かったのはベンチャーキャピタルで8億5,100万ユーロに上った。がん治療用の抗体薬物複合体(ADC)を開発するエマージェンス・セラピューティクスがシリーズAの資金調達で確保した8,700万ユーロは2位以下を大きく引き離している。
ベンチャーキャピタル以外の資金調達は、増資が7億4,800万ユーロ、新規株式公開(IPO)が6億9,400万ユーロだった。IPOはすべて米ナスダックで行われた。
会員企業を対象とする景況感アンケート調査では、事業の現状を「良い」とする回答が64%となり、前年の59%から5ポイント増加。今後についても「良くなる」が48%から52%に増えた。「コロナ禍の影響を受けている」企業は41%から33%に減少。「来年も影響を受ける」は16%にとどまった。
資金調達が好調なことを反映し、「研究開発費を増やす」企業は49%から57%へと増加した。「雇用を拡大する」も56%から69%に増えた。