介護・医療関係者への接種義務導入、最大野党CDU/CSUが見合わせを要求

ドイツの最大野党キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)が新型コロナウイルスワクチンの接種を介護・医療関係者に義務化することに反対の姿勢を示している。同義務導入の法案を昨年12月に議会で決議した時点では賛成票を投じていたが、予定通りに義務化に踏み切ると多くの介護士が離職し、人手不足に陥る懸念があることから、立場を翻した。CDUのフリードリヒ・メルツ党首は7日、3月15日に予定されている施行を見合わせるよう呼びかけた。

CSUの党首であるバイエルン州のマルクス・ゼーダー首相も同日、義務化を事実上、棚上げにする暫定ルールを同州で導入する意向を表明した。義務化を強行してもオミクロン株の感染拡大を防げないとしている。

これに対し国のカール・ラウターバッハ保健相は、介護・医療関係者に接種を義務付けるのは、感染すると重症化したり死亡するリスクの高い高齢者と基礎疾患のある人を守るためだと指摘。CDU/CSUの方針転換を批判した。

問題の背景には、介護士は労働条件が厳しいにもかかわらず給与水準が低いという事情がある。接種義務化を控え、医療・介護施設では退職届を出す非接種の介護士が数多く出てくることが懸念されている。

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