新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための「2Gルール」を小売店に適用する措置を停止する州が増えてきた。新型コロナワクチンの非接種者が入店できないうえ、小売店も売り上げが減少するというデメリットを正当化するだけの感染防止効果があるかどうかが疑わしいためだ。裁判所の違法・違憲判断が複数、出ていることもあり、適用をすでに停止したか近く停止する州は国内16州のうち13州に上る。
2Gは「Geimpfte(ワクチン接種完了者)」「Genesene(コロナ感染からの快復者)」の略。同ルールの適用対象となった施設・場所に入るためには接種完了、感染からの快復のいずれかを証明することが義務付けられる。昨年夏にハンブルク州が導入し、その後、すべての州に拡大していった。小売店への適用は国と州の首相の昨年12月初旬の会議で取り決められた(スーパーやドラッグストアなど生活必需品を取り扱う店舗は適用外)。
小売店への2G適用に対しては早くも12月中旬にニーダーザクセン州で裁判所が違憲判断を示し、同州政府は撤回に追い込まれた。9日までにバーデン・ヴュルテンベルク、バイエルン、ザールラント、ザクセン、ヘッセン、テューリンゲン、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン、ブランデンブルクでも停止されている。今後はベルリンとメクレンブルク・フォーポマーン、ハンブルク、ブレーメンが追随する意向だ。ノルトライン・ヴェストファーレン、ラインラント・ファルツ、ザクセン・アンハルトの3州は2G適用を継続している。
2Gを取り止めた州では感染防止効果の高いFFP2マスクの着用を義務付けたり、「3Gルール」に切り替える措置を導入している。3Gルールでは接種完了者と感染からの快復者に加え、陰性証明を持つ非接種者も入店できる。
他の州は2Gの小売店適用を継続する。このため、州によってルールが大きく異なる足並みの乱れが市民を混乱させるという、コロナ禍発生後にたびたび生じてきた事態が再び起こる懸念がある。