ドイツ連邦銀行(中銀)のナーゲル総裁は9日、ユーロ圏で物価の急上昇が続いていることを受けて、欧州中央銀行(ECB)が年内に利上げするべきとの考えを示した。ECBのラガルド総裁も先日、利上げは23年以降とする方針にこだわらない姿勢を示したばかりで、年内に2011年以来の利上げに踏み切る可能性が高まってきた。
1月に就任したナーゲル総裁は独有力紙ツァイトとのインタビューで、インフレ圧力が強い状況が3月に変わらなければ、ECBの理事会で「金融政策の正常化を支持する」と発言。第1段階として量的金融緩和を終了した上で、年内に利上げするという方針を打ち出した。
ユーロ圏のインフレ率は10月から3カ月連続で過去最高を更新し、12月は前年同月比5.1%まで上昇した。ECBは物価の急上昇は一時的として、利上げは23年以降とする姿勢を堅持してきたが、3日の定例政策理事会で方針を転換。ラガルド総裁は理事会後の記者会見で、年内の利上げを否定しなかった。
ECBではオランダ中銀のクノット総裁が6日、テレビ局とのインタビューで、22年10~12月期に利上げするとの見通しを示すなど、利上げの機運が高まっている。ナーゲル総裁は「行動が遅くなれば、早く動いた時より利上げ幅は大きくなり、引き上げのペースも早まる」と述べ、利上げの影響をできる限り抑えるためにも早期の実施が望ましいとしている。