ソフトバンクグループ(SBG)は8日、傘下の英半導体設計大手アームを米半導体大手エヌビディアに売却する計画を断念すると発表した。主要国・地域の競争当局が難色を示し、承認を得るのが難しくなっているためで、エヌビディアと契約を解消することで合意。アームへの投資を回収するため、同社を上場させる方針だ。
SBGは2020年9月、アームの全株式をエヌビディアに最大400億ドルで売却することで合意したと発表していた。しかし、同買収をめぐっては、アームが持つ知的財産権をエヌビディアが握ることで、同社のライバルである半導体企業がこれまでのようにアームからライセンスの供与を受けることができなくなるといった懸念が浮上。英国とEUの競争当局が厳しく審査している。米国では連邦取引委員会(FTC)が12月、買収差し止めを求める訴訟を起こした。
SBGとエヌビディアは声明で、「取引を阻む規制上の大きな課題があったため、契約の解消に至った」と述べた。エヌビディアには違約金として12億5,000万ドルを支払う義務が生じる。SBG は2023年3月までにアームを上場させる計画で、準備に入るとしている。