ウクライナ危機が一段と深刻化し、天然ガス価格がさらに高騰するとドイツのインフレ率は今年6%を超える可能性がある――。財界系シンクタンクIWドイツ経済研究所は24日に公開したレポートでこんな見方を明らかにした。「ドイツが(ロシア産天然ガスの)供給停止を短期的に乗り切れたとしても、ガス価格は急速に上昇する」としている。
IWは独連邦銀行(中銀)の最新の景気予測をもとに試算を行った。2022年の天然ガス価格が21年第4四半期の水準にとどまるシナリオ(第1シナリオ)と、21年第4四半期を50%上回るシナリオ(第2シナリオ)の2つを想定。第1シナリオではインフレ率が今年4.3%、来年4.5%に上ると計算している。連銀予測ではそれぞれ3.6%、2.2%となっており、天然ガス価格が上昇しなくてもインフレ率は上振れすることになる。
第2シナリオでは今年のインフレ率が6.1%に達する。来年は5%に下がるものの、水準は極めて高い。
インフレ率が高まる結果、個人消費が低迷し、実質国内総生産(GDP)は下振れする。第1シナリオでは今年の成長率が連銀予測(4.2%)を0.2ポイント、第2シナリオでは同0.6ポイント下回るとしている。