ドイツ政府は3日、国内の戦略石油備蓄を放出すると発表した。ウクライナへのロシアの軍事侵攻を受け石油価格が高騰し、需給がひっ迫していることを受けた措置。国際エネルギー機関(IEA)の決議に基づき備蓄の一部を市場に供給する。
IEA加盟国は1日、計6,000万バレルの備蓄放出を取り決めた。ドイツはこれを受け、加盟国の消費量に占める同国の割合(5.4%)に相当する約43万5,000トンを取り崩す。備蓄の約3%に当たる。
IEA加盟国は前年の石油純輸入の90日分に相当する量を備蓄しなければならない。ドイツはこれを受け、国内で事業を展開する石油会社(生産事業者と輸入事業者)に法律で備蓄を義務付けている。
備蓄量は現在、原油で1,500万トン、石油製品で950万トンに上る。国内消費の93日分に相当する量で、輸入が完全に途絶えても3カ月以上、持ちこたえることができる。
備蓄の放出は連邦経済・気候省令が官報に掲載された翌日から開始される。石油会社は時価で放出することになる。
ドイツが備蓄を放出するのは今回で4回目。過去3回の放出もIEAの決定を受けて行われた。
政府は国内のエネルギー安定供給の維持に努めており、2日にはLNG(液化天然ガス)の調達に15億ユーロ支出することを明らかにした。