●イスラエル元首のトルコ訪問は2007年以来
●トルコ側に関係改善の意向が強い
イスラエルのアサク・ヘルツォーク大統領は9日、訪問先のアンカラでトルコのレジェプ・タイイップ・エルドアン大統領と会談した。イスラエル元首がトルコを訪れたのは2007年以降で初めて。両国関係の修復に向けた象徴的意味合いがある。
トルコはかつて、イスラエルと友好的関係を築いていたが、2010年のガザ支援トルコ船団襲撃事件を機に関係が悪化した。16年の和解合意で関係正常化に動き出したが、18年、在エルサレム米国大使館開設をめぐってガザ地区とイスラエルの境界線付近でイスラエル兵とパレスチナ人との衝突が起き、再び冷却状態に陥った。
イスラエルはトルコとの関係が悪化した10年以降、トルコと対立関係にあるギリシャ、キプロスに接近。20年には東地中海から欧州へ天然ガスを輸送するパイプラインの敷設で協定を結んだ。
また、米国の仲立ちで20年にアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、スーダン、モロッコと国交を正常化した。これにより、イスラエルにとって、アラブ諸国との仲介役としてのトルコの重要性は以前より薄れていた。
一方トルコ側は、国内経済危機や、米国との対立激化などの問題を抱え、イスラエルとの関係改善への意向を強めている。このため、昨年のベネット首相就任以降、イスラエルへの関係修復の働きかけを積極化させていた。