欧州の「夢の島」~ポーランド

ポーランドでごみの不法投棄が大きな問題になっている。2017年に中国が廃棄物の輸入をストップしたのを機に、その量が急増した。18年に投棄先の埋立場で次々に火災が起こり、世論の注目するところとなった。

ウッヂ工科大学のグジェゴシュ・ヴィエルゴシンスキ教授(環境工学)によると、主な原因の一つは、19年の法改正まで、リサイクリングのペーパーカンパニーを作るのが容易だったことにある。借地契約とリサイクリング設備の説明があれば足り、設備を「所有する必要さえなかった」という。これらの「企業」が市場価格を下回る料金で廃棄物処理を提供し、ドイツを始めとする多くの欧州諸国からごみを輸送して不法投棄する。本来輸入が禁止されているものでも、内容を偽って輸入許可を得たり、許可なしに運び込んだりという例が後を絶たない。

ポーランドの非政府団体(NGO)「ゼロ・ウェイスト」のピョートル・バルチャク氏によれば、ポーランドは国内で出る廃棄物の処理もできない状況といい、砂利採取場、耕地、森、道端、旧倉庫などに次々にごみの山が生まれている。

政府は不法投棄などの環境犯罪に対する罰則を重くすることで対応しようとしているが、真の解決に向けては取締強化などの行政措置と、リサイクリング能力の強化も必要となるだろう。

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