ロシア、ルーブルによる「非友好国」への債務返済を容認

●毎月の返済額が1,000万ルーブル以上の主要通貨建て債務が対象

●資金流出を防ぎつつ債務を返済し、デフォルトを回避する狙い

ロシア政府は5日、同国政府と企業が「非友好国」に対する債務の返済をルーブルで行うことを認める大統領令を発表し、即日で発効した。同大統領令は外国政府や企業に対する新たな決済手続きを規定するもので、毎月の返済額が1,000万ルーブル(現在のレートで約7万ユーロ)を超える主要通貨建て債務が対象となる。同大統領令の非友好国のリストには日本を含む西側諸国が含まれる。政府は資金の流出を防ぎながら債務の返済を続け、デフォルトを回避する狙いだ。

大統領令によると、非友好国の政府・企業に対する負債については、外国の債権者の名前で開設された「タイプC」の口座にルーブル建てて入金することができる。「タイプC」の開設口座はロシアの銀行でなくてもよいとされる。ロシア国内の債務者が債権者の同意なく開設できるほか、取引回数が制限されるのが特徴だ。

非友好国以外の外国の債権者は公定レートで計算されたルーブル建てで債務返済を受けることができる。この場合、「タイプC」の口座を介することなく外貨に交換し国外に持ち出すことが認められている。

国際的な取引慣行では通常、債務者が外貨交換に伴う損失を補填する必要があるほか、債務の返済は速やかに行うものとされている。このため「タイプC」の口座を通した返済はそうした慣行に反するものと見なされる可能性があるとの指摘が出ている。

同大統領令の対象となる債務には貸付などが含まれるが、輸出契約に伴う前金については言及されておらず明確になっていない。

一方、米ブルームバーグは同大統領令の発表後、ロシア国営ガスプロムが同社の債権の保有者に13億米ドルを返済したほか、国営石油大手ロスネフチもドル建て債務の支払いを行ったと報じている。

通貨ルーブルは年初以来、対ユーロで43%下落している。(1RUB=0.97JPY)

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