エネルギー大手の独エーオンと豪鉄鉱石大手フォーテスキュー・メタルズ・グループ(FMG)傘下のフォーテスキュー・フューチャー・インダストリーズ(FFI)は29日、再生可能エネルギー電力で作るグリーン水素を欧州に供給することで基本合意した。欧州の脱炭素化とロシア産化石燃料依存からの脱却に寄与する考えで、調印式には両国政府の関係者が出席した。ドイツのロベルト・ハーベック経済・気候相は「(両社の)この合意は重要な一歩だ」と述べたうえで、独豪政府が昨年6月に取り決めた水素分野の協定に基づき支援する意向を表明した。
両社はFFIがオーストラリアなどで製造するグリーン水素をドイツとオランダの企業や、欧州の自治体に供給する考え。2030年までに供給量で年500万トンを実現する目標だ。これはドイツがロシアから輸入する暖房用化石燃料の3分の1に相当する規模という。両社は今後、フィージビリティスタディを実施したうえで、プロジェクトの詳細を取り決める。
FFIは独化学大手コベストロにグリーン水素とその派生物を供給することで1月に基本合意したばかり。コベストロは24年から水素換算で年最大10万トンの供給を受け二酸化炭素(CO2)排出量を年最大90万トン削減する。