欧州連合(EU)加盟国は3月21日に開いた外相・国防相理事会で、EUの2030年までの安全保障・防衛戦略の指針を採択した。最大5,000人規模の即応部隊を25年までに創設するのが柱。ロシアのウクライナ侵攻が欧州の安全保障を脅かす中、EUの防衛力を強化する。
EUでは07年から1,500人規模の即応部隊を投入する仕組みが導入されたものの、実際に運用されたことはない。しかし、アフガニスタンからの退避をめぐる混乱を受け、EU内で米国の軍事力に依存する現状への危機感が高まっていることから、ボレル外交安全保障上級代表(外相)が2021年11月、5,000人規模の独自部隊創設を提唱していた。
今回の理事会で各国は、ロシアのウクライナ侵攻で「欧州に戦争が戻ってきた」という危機感を共有。「戦略羅針盤」と呼ばれる同指針に、即応部隊創設を盛り込んだ。ドイツが部隊の中核を提供する。同計画は24、25日のEU首脳会議で承認された。
同部隊は北大西洋条約機構(NATO)や米、英、日など同じ価値観を持つ国と連携し、「共通の脅威」に立ち向かう。いつでも対応できるようにするため、軍事演習を行う。
このほか、同指針には情報収集能力、サイバー攻撃への対応能力を強化することなども盛り込まれた。