EUの欧州医薬品庁(EMA)は3月29日、スペインの製薬会社イプラが開発中の新型コロナウイルスワクチンの承認に向けた「逐次審査」を開始したと発表した。ブースター接種(追加接種)での使用を想定し、審査を進める。
イプラは動物用ワクチンを主力とする製薬会社。開発している新型コロナのワクチンはたんぱく質ベースだ。米ファイザー、モデルナなどのメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン、アストラゼネカなどのウイルスベクターワクチンを接種した人を対象とする追加接種向けとして開発を進めている。
EMAによると、初期の臨床試験(治験)で、追加接種に効果があり、「オミクロン株」を含む新型コロナウイルスに有効なことが確認されたことから、逐次審査を開始する。
逐次審査は感染症の世界的流行など緊急時に際して必要なワクチンや治療薬の承認手続きを迅速化するため、試験データを順次審査する制度。承認が正式に申請される前の段階で、最終的な試験結果を待たずに入手可能なデータから順次審査を進めるため、通常より短期間で審査を完了することができる。