日本の岸田首相は3月31日に開かれた衆議院本会議で、ロシア東端サハリン沖の液化天然ガス(LNG)開発事業「サハリン2」から撤退しない方針であると明言した。同事業は長期的、安定的かつ低価格でのLNG供給に貢献しており、「日本のエネルギー安全保障上、極めて重要なプロジェクト」だと強調した。
「サハリン2」はサハリン北東部沿岸の石油ガス鉱区の関連施設開発プロジェクトで、ロシア初の天然ガス液化プラントを設置した。出資比率は露ガスプロムが50%プラス1株、英蘭系石油メジャーのシェルが27.5株マイナス1株、三井物産が12.5%、三菱商事が10%。シェルは2月末、同プロジェクトからの撤退を表明したが、日本の2社は政府および提携先と検討中という。
ロシアは日本の原油輸入量全体の4%、LNGは9%を担う重要な輸入相手国だ。EUはロシア産天然ガスの依存度を年内に約6割減らし、依存脱却を目指す計画を打ち出しており、日本としても主要7カ国(G7)と協調してロシア依存の低減に取り組む考えだ。