ドイツ連邦陸運局(KBA)が5日発表した3月の乗用車新車登録台数は前年同月比17.5%減の24万1,330台と大幅に落ち込んだ。減少は3カ月ぶり。部品不足による生産低迷がロシアのウクライナ侵攻で加速したことが響いた。1~3月も前年同期比4.6%減の62万5,954台へと後退している。新型コロナウイルス感染流行前の19年1~3月に比べると29%少ない。
3月の新車登録を動力源別でみると、電気自動車(BEV)は14.5%増3万4,474台へと拡大した。プラグインハイブリッド車(PHV)を含むハイブリッド車(HV)は6.8%減の7万5,713台へと後退。PHVは23.3%減の2万7,288台と大きく落ち込んだ。内燃機関車はガソリン車が27.0%、ディーゼル車が30.1%の幅で後退した。
シェアをみると、BEVは前年同月の10.3%から14.3%へと大きく拡大。HVも27.8%から31.4%へと伸びた。PHVは12.2%から11.3%、ガソリン車は39.4%から34.9%、ディーゼル車は22.1%から18.7%へと落ち込んだ。乗用車新車登録に占めるBEVとPHVの合計のシェアは25.6%、BEVとHVは同45.7%だった。
走行1キロメートル当たりの新車の二酸化炭素(CO2)排出量は119.3グラムで、前年同月から5.5%減少した。環境対応車の販売比率増加を背景に低下が続いている。
新車登録を部門別でみると、増加したのは大型車(13.3%増)だけだった。超小型車は33.9%減、コンパクトカーは32.4%減と大きく落ち込んだ。SUVは6.3%減。シェアではトップのSUVが前年同月の24.8%から28.1%へと拡大した。2位のコンパクトカーは17.8%から14.5%へと低下している。
主要ブランドの実績をみると、電動車専門のポールスター(174.5%増の571台)とテスラ(117.3%増の8,045台)はこれまでに引き続き特に大きく伸びた。これにホンダが43.4%増の852台、ダチアが35.1%増の4,530台、スバルが24.2%増の585台で続いた。
ドイツ車はすべて減少した。各ブランドの実績はポルシェが2.0%減の2,948台、アウディが2.2%減の2万1,752台、フォードが6.7%減の1万2,942台、BMWが15.5%減の1万9,804台、メルセデスが26.0%減の2万360台、スマートが30.8%減の1,794台、VWが31.8%減の3万8,543台、ミニが35.0%減の3,815台、オペルが37.8%減の1万1,808台。
ホンダとスバル以外の日本車ではレクサス(16.6%増の358台)、三菱(14.7%増の3,315台)、マツダ(10.8%増の5,084台)が2ケタ台の伸びを記録。トヨタ(0.1%増の7,028台)もわずかに増加した。日産(31.0%減の2,864台)とスズキ(33.3%減の1,543台)は減少した。
日本車以外の主な輸入ブランドをみると、起亜(12.8%増の6,838台)とジープ(7.7%増の1,392台)を除いてすべて減少した。各ブランドの実績はDSが5.1%減の167台、現代が9.5%減の9,529台、セアトが19.5%減の1万1,188台、シトロエンが19.6%減の3,832台、フィアットが20.5%減の8,055台、ルノーが21.1%減の8,074台、シュコダが27.4%減の1万2,249台、ボルボが29.1%減の3,086台、プジョーが33.5%減の3,747台、アルファロメオが34.3%減の213台、ランドローバーが43.0%減の940台、ジャガーが45.4%減の353台だった。
増減率は示されていないものの上海汽車系のMGロエベは542台、浙江吉利とボルボの合弁リンク・アンド・コーは94台となっている。
■生産予測を下方修正
一方、独自動車工業会(VDA)が同日発表した3月の国内乗用車生産台数は26万7,600台となり、前年同月を29%下回った。減少は2カ月連続。輸出台数も35%減って20万200台となった。1~3月の累計は生産台数が前年同期比12%減の89万9,100台、輸出台数が15%減の60万5,600台だった。
VDAは戦争勃発を受け独メーカーの今年の乗用車生産予測を引き下げた。国内生産を従来予測の前年比13%増から「7%増の330万台」へと下方修正。国外生産も5%増から「2%増の960万台」へと引き下げた。ヒルデガルド・ミュラー会長は戦争と制裁の先行きを読むことはできなとして、予測をさらに下方修正する可能性を排除しなかった。