EUが中国と首脳会議、ロシア支援をけん制

欧州連合(EU)と中国は1日、オンライン形式で首脳会議を開き、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐる問題を中心に協議した。EUは中国に対し、制裁逃れにつながるようなロシアへの支援を行わないよう求め、中ロの連携をけん制。これに対し中国側は、西側諸国によるロシアへの制裁強化に反対の立場を改めて示し、中国とEUが協調して情勢安定化を図る必要があると強調した。

EUと中国の首脳会議は投資協定で大筋合意した2020年12月以来の開催となった。EU側からはミシェル大統領とフォンデアライエン欧州委員長が出席し、李克強首相、習近平国家主席とそれぞれ協議した。

ミシェル氏は会議後の記者会見で、国連安全保障理事会の常任理事国として、戦争終結に向けて国際的な役割を果たすよう中国側に求めたと説明。「ロシアを支援するいかなる試みにも警戒しているが、中国が停戦に向けてロシアに前向きな働きかけを行うのであれば歓迎する」と発言。

フォンデアライエン氏は「EUによるロシアへの制裁を支持しないとしても、少なくともこれを妨げるべきではない」と中国側に伝えたことを明らかにした。さらに中国がロシアを支援すれば、欧州での中国の信用が「著しく失墜する」と警告。ウクライナ侵攻を受けて多くの企業がロシアから撤退した現状に触れ、中国がロシア寄りの立場を取ればEUとの関係悪化は避けられず、双方の利益にならないと述べた。

一方、中国メディアによると、習氏は「中国とEUは不安的な世界情勢を安定させる要素を提供すべきだ」と強調したうえで、「一般市民に重い負担を強いるべきではない」と述べ、西側諸国によるロシアへの経済・金融制裁に反対の立場を表明した。EUと中国の関係に関しては、「協力と調和が問題解決につながる」と強調。「欧州側が自主的な対中認識を形成し、自主的な対中政策を進めることを望む」と述べ、中国への対応を見直すよう強く求めた。

EUと中国の関係はこのところ急速に悪化している。新疆ウイグル自治区での人権問題を受け、EU側が21年3月に中国当局者らに制裁を科すと、中国側も即座に報復制裁を発動。昨年にはリトアニアが国内に「台湾代表処」の設置を認めたのを機に、中国が事実上の貿易制限措置を導入。これを受けてEUは今年1月、世界貿易機関(WTO)に中国を提訴した。

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