ロシアがポーランドとブルガリアへの天然ガス供給を停止したことを受け、ドイツ経済・気候省は27日に声明を発表し、国内の供給は現時点で安定していることを明らかにした。ロシアからのパイプライン輸送は安定した水準を保ち、国内の貯蔵量も3月18日から増え続け、同日時点で容量の33.53%に達しているという。
露国営天然ガス大手ガスプロムは26日、ポーランドとブルガリアの輸入業者に供給停止を通告。27日から供給を停止した。ロシアが要求するルーブル建て決済の要件を満たしていないことを理由としている。ただ、他の国の輸入業者もポーランドやブルガリアと同様の方法で決済を行っていることから、ガスプロムはドイツなどロシアに制裁を科している他の国への供給も今後、停止する可能性がある。経済・気候省はエネルギー事業者や欧州連合(EU)加盟国と情報を緊密に交換しながら状況を注視していく意向だ。
一方、独ロベルト・ハーベック経済・気候相は26日に訪問先のポーランドで、ロシア産石油への依存について近日中に全面脱却のメドがつく見通しを明らかにした。3月下旬の時点では脱却の時期を年末としており、大幅に前倒しすることになる。
ハーベック氏によると、これまでロシアから石油を輸入してきた独西部の港湾は他の国から輸入する契約を締結。仏トタルが独西部のロイナで運営する製油所も原油の調達先をロシアから他の国に切り替える。ロシア産原油を加工する製油所は露国営石油大手ロスネフチが独東部のシュヴェットに持つ子会社PCKラフィネリーのみとなる。PCKの独石油市場シェアは約12%。ハーベック氏は26日、ロシア産石油の輸入禁止措置を実行できるになったと述べており、PCKの原油調達先についてもロシア以外に切り替える考えだ。27日にはツイッターへの投稿で、ロスネフチはPCKでロシア産以外の原油を精製する考えはないと指摘。ロスネフチがPCKをコントロールしないのであれば、ロシア産以外の原油を同製油所に供給する考えを示した。
EUはロシア産石炭の輸入禁止措置をすでに決定した。エコノミストの間からは、ドイツが同国産石油への依存脱却にメドをつけたことで、今後は石油についても禁輸に踏み切りやすくなったとの見方が出ている。
石油はロシア最大の外貨収入源であるため、主要な輸出先であるEUの禁輸は同国経済だけでなく、戦争遂行能力も弱めると目されている。