ロシア富豪ティンコフ氏、ネット銀行の売却を検討

●同氏はロシア軍のウクライナ侵攻を痛烈批判

●同銀の経営陣との溝が一気に広がったか

ロシアの富豪で実業家のオレグ・ティンコフ氏が、自ら育てた国内唯一のインターネット専業銀行ティンコフ・バンクの売却を模索しているもようだ。ソーシャルネットワークで19日にティンコフ氏が戦争批判のメッセージを投稿したのを機に、以前から伝えられていた経営陣との溝が一気に広がったためとみられる。

現地のビジネス情報サイト「RBC」が匿名筋の情報として23日に伝えたところによると、具体的にはティンコフ・バンクの経営権を握るTCSバンキング・グループの35%が売却対象となる。

同社はロンドン証券取引所(LSE)に上場していたが、ロシアのウクライナ侵攻で取引が停止された。最終取引価格をベースとした時価総額は6,300万米ドルと、史上最高値(200億ドル)の3%強まで落ち込んだ。モスクワ証取での時価は約60億ドルで、ティンコフ氏の持つ35%は20億ドル強の価値がある計算になる。

ティンコフ氏は19日、インスタグラムを通じてウクライナ侵攻を「狂った戦争」と批判。「国民の90%はこの戦争に反対している」と主張した。

この投稿に対しては、数時間で10万人以上から「いいね!」と支持が寄せられた。一方で、ティンコフ・バンクの口座を解約した顧客も多数に上ったという。経営陣はこれを受けて、ティンコフ氏の意見が個人的なもので、銀行全体の意見ではないという立場を発表。22日には銀行の名称を改める予定を明らかにした。

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