ルノー、アフトワズ株を露研究機関に売却か

ロシアのウクライナ侵攻を受けてロシアから撤退する仏自動車大手ルノーが、保有する同国自動車最大手アフトワズの株式をロシア国営の中央自動車エンジン科学研究所(NAMI)に譲渡するもようだ。ロシアのインタファクス通信が4月26日、マントゥロフ産業貿易相からの情報として伝えた。

ルノーはアフトワズの過半数の株式を保有している。インタファクスによると、NAMIは全株式を1ルーブルで取得する。事実上、無償の取引となる。さらに、ルノーは5~6年以内に同株式を買い戻す権利を持つ。

同社は3月末、ロシアでの生産を停止すると発表。子会社アフトワズとの関係を見直すとしていた。インタファクスによると、モスクワ工場の株式は同市政府に売却するという。ルノーは一連の報道について、コメントを控えている。

ロシアに進出している欧米、日本などの企業の多くが、ウクライナ侵攻に抗議して撤退を決めたが、同国の資産の処分が大きな課題となっている。ロシアへの経済制裁に参加していない中国などの企業を利するような売却は避けたいためだ。

アフトワズ売却を巡る報道が事実とすれば、ロシア当局は撤退する企業の資産を公的機関が引き継ぎ、再進出の機会を与えるモデルケースを提示した格好となる。

上部へスクロール