アップルに異議告知書、モバイル決済サービスめぐり

欧州委員会は2日、米アップルのモバイル決済サービス「アップルペイ」について、EU競争法違反の疑いがあるとして同社に異議告知書を送付したと発表した。自社の携帯端末による非接触型決済で競合他社の参入を妨げており、市場支配的地位の乱用にあたるとの見方を示している。正式に競争法違反と認定された場合、アップルは巨額の制裁金が科される可能性がある。

欧州委はアップルペイをめぐり、2020年6月に本格調査を開始した。同委によると、アップルは「iPhone(アイフォーン)」など自社の端末で非接触型決済を行うための近距離無線通信(NFC)技術へのアクセスを制限し、アップルペイ以外の決済サービスを利用できないようにして競争を阻害した疑いがもたれている。

欧州委のベステアー上級副委員長(競争政策担当)は声明で「デジタル経済でモバイル決済の果たす役割が重要性を増している。これまでの調査から、アップルは自社のアップルペイが優位になるよう、競合他社がアップル製端末で利用可能なモバイル決済サービスを開発するのに必要な技術へのアクセスを制限し、公正な競争を阻害したとの予備的見解をまとめた。事実だと確認されれば、こうした商慣行は違法行為にあたる」と指摘した。

アップルは欧州委と引き続き協議する意向を示したうえで、「アップルペイは欧州の消費者が利用できる多くの決済手段の1つにすぎない。プライバシーやセキュリティに関して業界最高の基準を設定しながら、NFC技術への平等なアクセスを確保している」と反論した。

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