●フィンランドへの電力供給停止に対応した措置
●バルト3国は25年までに電気系統をEUと同期させる方針
バルト3国が22日までにロシアからの電力輸入を全面的に中止した。北欧・西欧の電力取引所ノルドプールがロシア電力会社インターRAOとの取引を停止したためだ。インターRAOは14日、ノルドプールを通じた代金決済のトラブルを理由にフィンランドへの電力供給をストップしており、今回の措置はこれに応えるものとなる。
ラトビアはすでに今月初めからロシア産電力の調達を中止していたが、今回のノルドプールの決定により、バルト3国全域とフィンランドでロシアからの供給が止まることになる。
インターRAOはエストニアに約50社の顧客を持つが、他の業者から電力が調達できるため、深刻な影響はなさそうだ。
フィンランドはロシアのウクライナ侵攻を受け、スウェーデンとともに北大西洋条約機構(NATO)加盟の検討を開始。今月18日に両国そろって正式に加盟を申請した。ロシアは両国の動きを強く警戒し、加盟が成ればバルト海地域における核配備もありうると警告していた。このような状況から、フィンランドへの電力供給停止の理由が地政学的な思惑にあると考えられている。
リトアニアのデイニュス・クレイヴィース・エネルギー相は20日、今回の出来事が「エネルギー調達におけるリトアニアの独立達成に向けた正しい一歩である」と評価。2025年までにバルト3国の電気系統を欧州連合(EU)のそれと同期させる方針を確認した。