ドイツ連邦統計局が30日発表した5月の消費者物価指数は前年同月比7.9%増(暫定値)となり、インフレ率は第1次石油ショック以来およそ50年ぶりの高水準に達した。ロシアのウクライナ侵攻開始から3カ月が経過し、川上レベルの物価高騰が最下流の消費者物価に強く波及。上げ幅は前月の7.4%から一段と拡大した。
物価を特に強く押し上げているのはエネルギーで、上げ幅は前月の35.3%から38.3%へと拡大した。食料品も同8.6%から11.1%へと膨らんだ。穀物、食用油、食肉・肉製品で上昇率が特に大きい。ロシアとウクライナは穀物、食用油、飼料の主要な産地であるためだ。
物価の構成比率が50%を超えるサービスの上げ幅は2.9%となり、前月を0.3ポイント下回った。
前月比のインフレ率は0.9%だった。
物価高騰で家計が圧迫されていることから、6~8月の3カ月は自動車燃料税が引き下げられるほか、長距離路線を除く全国の公共交通機関を月9ユーロで利用できるようになる。この効果で3カ月間はインフレ率が1ポイント弱、押し下げられるとエコノミストはみている。また、昨年下半期は物価の上げ幅が大きかったことから、今年下半期はその反動でインフレ率が押し下げられると見込まれている。それでも欧州連合(EU)が適正水準とする約2%を大幅に上回る状況は続く見通しだ。
EU基準の5月のインフレ率は前年同月比で8.7%に達した。前月比も1.1%と水準が高い。