フックス―電池材料事業に参入―

潤滑油大手の独フックス・ペトロルブは5月25日、電解液の独スタートアップ企業Eライト・イノベーションに資本参加したと発表した。電解液は正極、負極とならぶリチウムイオン電池の主要材料。電池需要の急速な拡大を受け電解液のニーズも大幅に増えると見込まれることから、新たな事業分野を開拓する。シュテファン・フックス社長は「世界は急速に変化している。わが社は単に後れを取らないようにするのでなく、将来に積極的に対応する。極めて刺激的でグローバルに急成長するとともに事業に大きなポテンシャルを持つ市場への参入を通して」と意欲を示した。

Eライトの資金調達に応じて28%の資本を獲得した。出資額は800万ユーロ。将来の出資比率拡大を視野に入れている。Eライトの既存株主である電池スタートアップの独カスタムセルズも出資比率を8%から10%へと引き上げた。

3社は今後、西南ドイツのカイザースラウターンにあるフックスの拠点に工場を建設。来年夏から電解液の量産を開始する。

Eライトはミュンスター大学MEET電池研究センターからのスピンオフとして2019年に設立された。従業員数は12人。急速充電を可能にする電解質など各顧客のニーズに見合った高性能の製品を開発している。製品は自動車のほか、無人機、医療機器、航空宇宙など様々な用途向けの電池に搭載される。

カスタムセルズは高級スポーツ車大手のポルシェとも協業している。ポルシェと共同で昨年夏に合弁会社セルフォースを設立。同合弁でポルシェの一部の車両向けに24年から電池を生産することになっている。

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