ウクライナのITハブ、国内南西部に移動

●ザカルパッチャ州で新たなITクラスター形成を計画

●冶金産業や農業に代わりIT産業が同国の輸出を主導

ウクライナの複数のIT企業がロシアの軍事侵攻を受けて国内南西端のザカルパッチャ(ザカルパチア)地方に拠点を移している。戦火を逃れて事業を継続するこれら企業に対し、ザカルパッチャ州政府も支援を提供し、新たなクラスターを形成していく計画だ。同国では情勢が比較的安定している西部地域へのIT企業の移転が相次いでいる。

新たにザカルパッチャ地方に移ったIT企業には、米系のアスタウンド・コマース、西部の中心都市リビウ発のソフトサーブ、東部のハリコフで創業したシグマ・ソフトウエア、キエフに本拠を置くジェネシス、人材紹介事業の4チーム、ソフト開発のEPAM、インテリアス及びスカッド、アプリ開発ペーターソン・アップス、英ソフト開発企業でウクライナに開発拠点を持つテレセンスなどが含まれる。同地方への移転を希望する企業は現時点までに企業100社、個人事業主300人に上る。すでにIT産業の稼働率は戦前の98%にまで回復した模様だ。

同国のテクノロジー系企業は今年2月の戦争開始後も遠隔システムなどを使い事業を継続してきた。同国から避難した者も少なくないが、避難先で活動を続ける企業もある。

リビウにあるITクラスターの代表者ベセロフスキー氏によると、戦争で大きな被害を受けた冶金産業や農業に代わりIT産業が同国の輸出を主導するようになっている。

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