●総発電容量が計462メガワットのNPM6基を導入
●年間400万トンのCO2排出量を削減
ルーマニアの国営原子力発電事業者ニュークリア・エレクトリツァは5月23日、米ニュースケール・パワーから同国初となる小型モジュール炉(SMR)を2030年までに導入すると発表した。SMRが設置されるのは首都ブカレスト北西のドゥンボビツァ県にある旧ドイチェスティ石炭火力発電所となる予定。
導入されるのは、原子炉や圧力容器などをモジュール単位でまとめた「ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)」6基で、総発電容量は計462メガワット。これにより年間400万トンの二酸化炭素(CO2)排出量を削減できる。
両社は昨年11月にSMRの導入で協力することで合意していた。両国政府が2020年に原子力に関する政府間協定(IGA)を結んだ際には、米国輸出入銀行がエネルギー関連事業に対し最大70万ドルの支援を表明していた。また米国貿易開発庁(USTDA)は21年、ニュークリア・エレクトリツァに128万ドルの資金供与を行っている。
米オレゴン州ポートランドに本拠を持つニュースケール・パワーはSMR開発で市場をリードする。2020年8月には米国原子力規制委員会(NRC)からSMRとして初めて標準設計承認(SDC)を取得している。
ニュークリア・エレクトリツァは発電事業の他、熱供給や核燃料の生産も手掛けている。政府は同社の株式84.2%を保有する。