EU統計局ユーロスタットが1日に発表したユーロ圏の6月のインフレ率(速報値)は前年同月比8.6%だった。ロシアのウクライナ侵攻でエネルギー、食品などが値上がりする状況に歯止めがかからず、前月の8.1%から大きく拡大。統計を開始した1997年以降の最高記録を更新した。(表参照)
分野別ではエネルギーが41.9%で、前月を2.8ポイント上回った。食品も9.0%から11.1%に拡大した。工業製品は4.3%、サービスは3.4%。欧州中央銀行(ECB)が金融政策で重視する基礎インフレ率(価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いたインフレ率)は3.7%で、前月から0.1ポイント縮小した。
国別ではエストニアが22.0%で最高。このほか、ラトビア、リトアニア、ギリシャ、スロバキアなど計9カ国で2ケタに達した。主要国はドイツが8.2%、フランスが6.5%、イタリアが8.5%、スペインが10.0%。ドイツは燃料、交通費を助成する制度の導入で、前月から0.5ポイント縮小した。前月を下回ったのはドイツとオランダだけだった。
インフレ率はECBが目標値とする2%を大きく上回る水準。ECBはインフレ抑制のため、7月21日の理事会で0.25ポイントの利上げを実施する方針を打ち出している。利上げは2011年以来11年ぶり。ただ、インフレ率が予想を超えるペースで上昇していることから、市場では0.5ポイントの利上げを見込む向きもある。